「円周率は3」の話はウソだった

ちょっと前に知ったのだが、
おととい3月14日は「円周率の日」だったようなのでそれに因んで。

よく
「新学習指導要領から、小学校では
 円周率を 3.14 ではなく 3 と教えている」
という話を聞くけど、あれはウソでした。

まず文部科学省のサイトより。

新しい学習指導要領についてのQ&A

(Q1)
 「円周率は【3.14】ではなく【3】としか教えなくなるのですか。」

(A1)
 そんなことはありません。円周率については、【3.14】と教えるだけではなく、それが本当は、3.1415…とどこまでも続く数で、【3.14】も概数にすぎないということをこれまで通り、きちんと教えます。
 なお、円周率については、これまでも「目的に応じて3を用いる」こととしていますが、これは、およその長さが知りたい場合には、3を用いて計算するなど、様々な状況に応じて自分の判断により、使い分けられるようになってもらいたいからです。

とのこと。

Wikipedia にはわざわざ「円周率は3」という項目が立てられていて、
「円周率は3と教えるらしい」という噂が広まった経緯が説明されている。

円周率は3 – Wikipedia

円周率は3で計算」というイメージは「ゆとり教育」の象徴として流布しているが、学習指導要領における記述は正確には「(4) 内容の「B量と測定」の(1)のイ及び「C図形」の(1)のエについては、円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮するものとする。」(平成10年度施行小学校学習指導要領・小学校5年・算数)であり、「3.14を教えない」というのは誤解あるいは捏造である。2002年度から使用されている小学校5年生の算数の教科書には、しっかりと「円周率は3.14」と明記されている。

別にこのへんに関して学習内容が削減されたわけでも何でもなかった。

しかも、

「目的に応じて3を用いて処理」とは検算を行う場合などを指す。小数を使わない計算をすることで、大体計算結果があっていることを確認できる。

「まあだいたいこれくらい」という数字を使って検算するなど
かなり実用性の高いことを教えようとしているのだから、
以前よりよほど充実していると言うこともできるのではないだろうか。

「円周率が3とは!」と騒いでいた人(自分)もいたが
いったい何を根拠にあそこまで暴れていたんだろう。

そもそも 3.14 だって概数なんだから
たとえそれが 3 になったところで大差ないという気もする。

わずか%の削減ですから。

追記

上記の計算に対するコメントが多いので一応。
小学校で1992年から実施された学習指導要領では、
6年間の総授業数は5785コマ。
それに対して2002年からのものは5367コマ。
%の削減。

続き

関連エントリ

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31 Responses to “「円周率は3」の話はウソだった”

  • 2007/03/16 20:31

    しまった…
    パイの日にちなんで、私もそんな思い込みによるエントリを書いちゃいましたよ。さっそく訂正しよっと。

  • 2007/03/17 22:22

    ついでに言うと「台形の面積を教えない」もウソだった

    昨日のエントリの続き。 「円周率は3」の話はウソだった 「円周率は 3」とならん…

  • 2007/03/18 14:09

    でも小学校の算数でそんなことやっちゃダメでしょ

    こんなエントリを書いてはみたが、 「円周率は3」の話はウソだったついでに言うと「…

  • 2007/03/20 09:40

    > baldhatterさん
    私も信じ込んでました。ただ、文科省のサイトと Wikipediea に書いてあることなら100%信じていいのかというとこれがまた。

  • 2007/03/20 21:15

    > 100%信じていいのかというとこれがまた。
    4.46% は割り引いときましょう。

  • うにうに

    2007/03/21 23:23

    >ただ、文科省のサイトと Wikipediea に書いてあることなら100%信じていいのかというとこれがまた。
    確かに。
    特にWikiのこの項の筆者は,「円周率が3になった」という伝説が誤りであることを強調しようとするあまり,ちょっと勇み足の記述が見られます。
    たとえば,教科書に指導要領を超えた発展的な内容を賭けるようになったため
    >「目的に応じて3を用いて処理」という記述は、事実上意味をなさなくなった。
    という箇所。
    発展的な扱いができるようになったことが,直ちに「概数」「検算」の扱いの廃止を意味するわけではないですよね。
    実際,発展的な扱いが入るようになった現行の教科書でも「概数など3でたりる場合は3を使う」という内容はそのまま残っています。
    また,発展部分には「すべての児童が学習するものではない」という注が必ず付いているので,学校によっては従来のままというケースもあり得ます。
    また,
    >「目的に応じて3を用いて処理」とは検算を行う場合などを指す
    たしかに検算の時に3を使ってもいいのですが,最初に想定していた「目的」とは,「概算」です。
    たとえば木の切り株の直径から木の幹の周を算出するような例をあげていました。
    長くなったので一旦切りますね。

  • よし

    2007/03/21 23:23

    気にしなくていい誤差って言うの普通0.5%なので4.4%はかなりでかいズレですよ。

  • うにうに

    2007/03/22 00:23

    まあ,この円周率問題については事実関係がちょっと複雑なので,誤解が多いのも無理ないかも知れません。
    では,実際の指導要領では円周率の扱い方はどのように書かれてきたのか。
    ●1977年(昭和52年)公示,1980年度から実施
    算数 小学5年
    円周率の意味を知ること。(円周率としては3.14を用いる。)
    【円周率に関する記述はこれだけです】
    ●1989年(平成元年)公示,1992年度から実施
    算数 小学5年
    量と測定
     (1) ウ 円の面積について知ること。
    図形
     (1) エ 円周率の意味について理解すること。
    内容の取扱い
     内容の「B量と測定」の(1)のウ及び「C図形」の(1)のエについては、円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する必要がある。
    【「目的に応じて3を用いて処理」という部分が加わりました。この「目的」とは,前述の通り,「概算」「見積もり」を念頭に置いたもので,教科書でもそういった例が挙げられています。つまり,円の計算といったらいつでも3.14を使えというわけじゃないよ,ということです】
    ●1998(平成10年)公示,2002年度から実施
    算数 小学5年
    量と測定
     (1) イ 円の面積の求め方を考え,それを用いること。
    図形
     (1) エ 円周率の意味について理解すること。
    内容の取扱い
     内容の「B量と測定」の(1)のイ及び「C図形」の(1)のエについては,円周率としては3.14を用いるが,目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮するものとする。
    【ご覧の通り,前の指導要領と変わっていません。
    ところが,一部の新聞がこの指導要領で内容がかなり削減されることを1面トップで取り上げた記事の中で「円周率が3になる」と報じたり,ある評論家が「円周率を約3にするのなら,教科の名前も「約算数」にしてしまえ」と書いたり,なぜか誤解が広まりました。
    では,98年の指導要領では本当に何も変わっていないのか。
    実は,違います。この部分だけ見ていても分からないのですが,「目的」が変化したのです。
    この指導要領では,5年の数と計算の「小数の乗法及び除法の計算」のところで,
    「1/10の位までの小数の計算を取り扱うものとする。」
    という注意書きが加わりました。
    そのため,円周率を3.14として計算をすることができないのです。
    「切り株の直径と周を概算する」というのは,本質的な「目的」です。3で十分だからです。
    ところが,「小数第2位のかけ算は習っていないので,3で代用する」というのは,本質的な目的とは言えません。
    本当なら3.14(とか場合によってはもっと細かく)を使いたいのに,仕方なく3で我慢しているのです。
    教科書の執筆者も困りました。「小数第1位しか計算できない現状で円の問題を解くため」というのは,目的と呼ぶのにはやっぱり無理があります。
    概算ではない普通の図形問題で3を使うのは,さすがに抵抗があったのでしょう。
    そこで,円周率を使う問題には電卓マークを付けました。筆算ではやらなくていいよ,という印です。
    まとめると,98年の指導要領でも,その前のでも,「円周率は無限に続くが,普通は3.14を使う。概算などの時は3を使うこともできる」という扱いは変わっていません。
    変わったのは,「3.14を使う場合,教科書で習う範囲では筆算で解けない」という点です。
    ●2003年(平成15年)12月公示・即日実施
    「内容の範囲や程度等を示す事項は,すべての児童に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合には,この事項にかかわらず指導することができる。」という記述が加わり,学習の実態に応じて指導要領の範囲を超えた内容を指導することができるようになりました。
    また,これに伴い,教科書にも発展的な内容の記述がある程度認められるようになりました。(98年指導要領の時の検定では,ちょっとでも指導要領をこえた記述があると容赦なく削られました)
    ただ,その箇所には必ず,「発展的な内容であり,すべての児童が学習するものではない」ということを示すマークが付いていますので,3.14が出てきたら筆算をあきらめるという学校があっても文句は言えません。
    ●まとめ
    以上見てきたように,円周率は概算の場合を除いて一貫して3.14を使うことになっており,3になったことは一度もありません。また,本当は無限に続くということも教科書にきちんと書いてあり,何十桁,何百桁と表記してあるものもあります。
    ただ,筆算ができないので計算機に頼った時期があり,また今もそういう学校が残っている可能性はある,というだけのことです。
    (ただし,それはそれで別の問題があります。小数第2位や第3位まである数も扱ったほうが,かえって小数の計算の理解が深まり,間違えなくなるのです。第1位だけに絞るのは,一見親切なようで,実は余計なお世話だと思います。)
    にもかかわらず,今でも「小学校では円周率は3になった」と思っている人がこれだけいるという現実から言えることは,一つにはマスコミの影響力の強さ。一度流れた誤報を正すのは容易ではありません。もう一つは,円周率に対してロマンを抱いている人がけっこういる,ということではないでしょうか。
    長くなってすみませんでした。

  • Anonymous

    2007/03/22 00:39

    計算量が少ないことに対してゆとりゆとり言ってたんだから。

  • ernst

    2007/03/22 00:43

    だいたい騒いでる人間のほとんどが、円周率を自分で計算
    することもできない人間だしね。

  • Anonymous

    2007/03/22 03:26

    4.4%をわずかと言ってしまえる感覚がそもそもずれてる。
    ゆとり脳だな。

  • Anonymous

    2007/03/22 03:45

    4.4%は確かに大きい
    だが、4.4%を必要の無いときに計算しても
    その労力が無駄だと思うが…
    大物設計でもするなら大問題だが、日曜大工で使う分には十分だよ
    あくまで、試算のときに3でもいけるよ、って発想なんだから

  • Anonymous

    2007/03/22 04:04

    子供のころはなるべくやらせる方向に導いたほうが良いのでは?中学生になっても小数点第二位くらいの計算でうろたえることになるかも?

  • 職業:家庭教師

    2007/03/22 07:52

    そもそも「ゆとり」とは何か・・・
    個々の事例に対してもそうですが,考えると言うことを面倒がる子供が本当に増えた.甘やかされてばかりで責任感がをまったく感じることが出来ないから目の前にある安直な楽しみを楽しむことしか出来ない・・・
    実際に高校生になっても正負の計算が出来ない子もいました.もちろん他の教科,分野も言わずもがなです.
    なぜこんな子が増えたのだろう?と思いますが・・・・
    私たちやもっと年配の世代の子供時代よりも受ける刺激が少ない・・あるいは刺激慣れしてしまって面白さを感じる前に飽きてしまうのでしょう.遊びであっても勉強であっても人付き合いであっても.
    私は今の子供たちが可愛そうでなりませんよ.
    円周率の話とは離れてしまった感があって申し訳ないですが,教育の現場(私の場合はバイトのようなものですが・・)にいると「教育」「責任」「ゆとり」「子供に必要なものとは」等と考えてしまうものです.

  • 2007/03/22 14:26

    # 「およそ」と「ゆとり」

    「円周率は3」の話はウソだった というマスナガさんちのエントリを以前に紹介しまし

  • 2007/03/23 17:34

    > 円周率・台形の件について
    何かいろんな声をいただいてありがとうございます。この件について考えるにつけ、反省するばかりです。要するに「ゆとり」はダメだ、という固まった発想+情報操作または誤報 で見事に信じてしまったんですね。

  • ようすけ

    2007/03/29 20:09

    ゆとり教育の結果、「目的に応じて円周率3を用いるようになった」のだから、そうした事実から生じた誤解であって、ウソとまでは言えないと思いますが…。

  • 隠の讌飲

    2007/03/29 20:57

    [気になったもの]2007/03/29の気になったもの

    TBSが番組の誤り認める「ただ根幹部分に問題はなく、捏造などではない」…“朝ズバッ!”不二家報道 レス番号180の発言は全くその通りだと俺も思う。 まだ…

  • 2007/03/29 23:57

    こういうのマスコミは流しっぱなしですよね。
    そもそもなんでゆとり教育=悪影響なんでしょうか?自分もゆとり教育の世代にぎりぎりはいるんですが現在が結果を見出すような年代とは思えません。私も学生ですし、半分が義務教育の世代です。
    議論は大事ですが現在の扱い方はひがみにしか見えないです。ゆとりという言葉の流行りもあると思いますがとても公平な扱い方ではないと思います。

  • 彼処庵

    2007/03/30 00:30

    「円周率は3」は嘘!?

    「円周率は3」の話はウソだった – 頭ん中 だそうです。 新学習指導要領にて、「円周率は3」「台形の面積を教えない」などは嘘であると名言されています。 …

  • 2007/03/30 09:30

    円周率を延々と表示する変なドメイン名のサイト

    こないだ円周率に関するエントリを書いた関係で、 “3.14” を検索してこのブロ…

  • 2007/03/30 18:11

    > ようすけさん
    うーん、「ウソ」は言い方が強かったですかね。まぁブログのタイトルなんで、スポーツ新聞の芸能欄の見出しみたいなもんだと思ってください。

  • 2007/03/30 18:13

    > Zo-3さん
    もはや掲示板なんかで人のことを「ゆとり」と呼んで蔑む人までいるくらいですからねえ。そのうちみんな飽きるとは思いますが、ちょいひっぱりすぎ。

  • 2007/04/01 03:14

    普段の生活で使える数字としては「3」は実用的だけど、「3.14」はあまり実用的でないと思う。
    4.4%は確かに大きいけれど、大体の数値を求めることが求められる場では小さい数字だと言えるし、正確さを求められる時だけ3.14159265ぐらいで計算すればいいのではないかと思う。

  • 2007/04/01 15:38

    > Aさん
    実用性と正確さの兼ね合いの問題ですね。要はそこを使い分けられればそれ以上ごちゃごちゃ議論する必要はないんですが、それが一番難しいのだと言われたらそんな気もします。

  • 2007/04/17 02:12

    「頭ん中」2007年3月アクセス統計

    2007年3月 訪問者数訪問回数ページビュー転送量 2007年 3月55,8…

  • 2007/08/01 17:14

    円周率が3はウソなのか

    今さらなんですが。以前テレビなんかで騒いでましたよね。小学校では「円周率はおよそ3」と教えるらしいと。
    そのときは、何で3なんだろうと、すごく戸惑いました…

  • Hさん6年生

    2007/11/16 17:33

    やっぱ3.14でシヨー                僕は円周率100桁暗記に挑戦しています        ちなみに83桁暗記せいこう              3.14159265358979323846264338327950288419716939937510582097494459230781640628620899 

  • 2008/05/18 10:50

    始めまして こんいちわ 暖かくなってきた今日この頃で なんとな~く 円周率をネットで検索してみると… なな、なんと~~今まで 円周率は3.1415…と聞いてきたけど 実は 円周率は割り切れると!書いてたんですが!!URL載せておいたので 見てください 

  • うにうに

    2008/05/18 23:24

    以前のコメントを久しぶりに読み返していたら,
    >ゆとり教育の結果、「目的に応じて円周率3を用いるようになった」のだから、そうした事実から生じた誤解
    とようすけさんが書かれているのに気がついたので,少し補足しておきたいのですが,そもそもその「事実」が間違っているのです。
    小学校・中学校の理科・算数・数学の内容を大幅に削減した(いわゆる「3割減」)指導要領は1998年公示のものです。
    一方,「目的に応じて3を用いる」規定が加わったのは,その一つ前の,1989年の指導要領からです。
    「いや,89年の時だって,詰め込み教育への批判とかゆとり教育といったかけ声はあった」というのであれば,それはもっと前からあったとお答えしましょう。
    77年以降,小・中学校の算数・数学の内容は,多少の出入りはあるものの,基本的な流れとしては扱う内容を減らしたり,上の学年に持って行く方向にあります。
    教科活動を行わない「ゆとりの時間」が実施されたのも,指導要領の77年版が実施に移された80年です。
    百歩譲って,89年版を「ゆとりの教育」が本格的に導入されたものだとしても(どちらかといえばその次の98年の方が本格的といえると思いますが),「目的に応じて3」という規定は,(その時点では)あくまでも概数計算のためのものであって,ゆとり教育のために導入されたわけではありません。

  • 2009/01/13 18:58

    基本的間違いまで、スルーしてしまうマスゴミ

    ■主張「技術立国に向けて」- 時期を逃さず頭を鍛えよ 基礎知識の徹底を -