子供たちに「君も、ぼくらのように」と訴えても伝わらない理由

むかしむかし『バトルフィーバーJ』というテレビ番組があった。
5人組のヒーローが悪の秘密結社と戦う、いわゆる戦隊もの。

なぜか不意にそのテーマ曲が頭をよぎったんだけど、
その中のメッセージが
対象者のひとりである自分に届いていなかったことに気がついた。

この部分。

君も(君も)君もぼくらのように
力あわせろ

「君」は見てるちびっ子たち。
「ぼくら」はバトルフィーバーのみなさん。

ところがちびっ子だったころ
この「君」が自分だという感覚がなかった。
多くのちびっ子たちもそうだったんじゃないかな。

もちろん「この『君』って誰だと思う?」と聞かれたら
ああこの歌詞は自分たちに訴えかけているんだな、とはわかると思う。

けど特に何も考えずに聞いたり歌ったりしている段階で
そういう意識を持つことはなかった。

ちびっ子は、自分がヒーロー側にいるから。

戦隊ごっこをするとき、ほとんどの子は戦隊ヒーローの役をやる。
5人を超えてしまったときは、無理矢理いろんな色の役柄をでっちあげて
大所帯の戦隊をつくってたんじゃないかな。

あえて悪の秘密結社側に立つ子はいても
ヒーローに助けてもらうか弱い市民の役を進んでやる子はまずいない。

だからヒーローに「君もがんばれ!」と言わせても伝わらない。
言われた「君」は一緒になって
「そうだよ君!がんばれよ!」とメッセージを他所に転送するから。

彼らの影響力をもって好ましい方に感化しようとするなら
「ぼくらヒーロー戦隊は、違法駐輪などしない!」
といった台詞の方が効果的なんじゃないだろうか。

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