友人と呑んでいて
「『おとなしい』の対義語は何なんだろう。」
という話になったことがある。
だいたいそういう話をするときは
正解を求めているわけではなくて、
ただ好き勝手な言葉を並べて遊びたいだけ。
その時も思いつく限りのおとなしくない形容詞を並べて
ひととおり笑った挙げ句、
「まあ『子どもしい』ということで。」
という、小学生でも思いつきそうなことを言って
その話題を締めくくった。
が、後日聞いた説によれば
そのアホな答えはまんざらでもなかったかも。
「おとなしい」はもちろん「大人しい」なので
その時は「大人」の反対として「子ども」を持ってきたわけだが、
「子ども」ではなく「稚児」だという。
赤子のことを「稚児」と書いて「ややこ」と読む。
つまり「大人しい」の反対は「ややこしい」だという説。
なるほど、大人は「落ち着いていて穏やか」であるのに対して
赤子は「世話をするのに手がかかる」→「複雑で煩わしい」
という意味になっていったというわけだ。
これ、もともとは両方とも
子どもの性質を表す言葉だったんじゃないだろうか。
大人しい子と稚児しい子がいるという風に。
時を経てそれぞれの意味が変化したのか
意味のベクトルがズレてしまってはいるが、
両者が互いに対義語であるという話には激しく納得した。
ただ、世の中には
稚児しい大人がたくさんいるような気もしますなあ。
追記:
知人の国語学者に相談したところ、いろいろと見解を示してくれました。
後日まとめます。
少なくとも、
現代語では「おとなしい」の反対語は「荒い」または「荒々しい」(『反対語大辞典』東京堂出版)
「おとなしい」の反対を「ややこしい」と言ってしまうのはかなり抵抗感を覚える。
だそうです。ちぇっ。
2007/05/06 18:44
おお! すごい発見。
NHK教育「にほんごであそぼ」で野村萬斎が踊っていた「ややこしや~」も、何やら今まで以上に意味深に思えてきました。
2007/05/07 01:18
> baldhatterさん
baldhatterさんもご存じなかったとは。感動もひとしおです。そしていま「ひとしお」を変換してみて「一入」であることを知りました。
2007/05/08 02:38
ややこしいは「稚児しい」か
「大人(おとな)しい」の対義語は「稚児(ややこ)しい」だという。
それは知らなかった、と辞書を引いてみたところ、岩波国語辞典、三省堂の大辞林では確認…
2007/09/03 02:41
納得
本日は「納得」をキーワードに、納得できること・納得できないことについて書かれたテキストを拾い出してみようと思います。
2008/02/18 05:12
「おとなしい」より「荒い」「荒々しい」という言葉の方が聞こえがいいですね・・。おとなしいといわれる事があるけど言われて面白くない・・。損だとは思わないけど・・。