「ゾウリムシは死なない」の話に関連して。
働きアリを見ると、思うことがある。
「いったい、どこからどこまでがアリなのか」
ということだ。
大抵の動物は、
生命維持と自己複製を目的とした活動を行っている。
自己複製とはすなわち子を作るということだ。
ところが働きアリはどうだ。
個体として
自己の複製を作ることはない。
ひたすらに、
コミュニティ繁栄のために働くのみだ。
彼らの幸福はどこにあるのだろう。
この場合、コミュニティの繁栄とは
女王アリによる子産みを確実にすることを意味する。
働きアリもやはり女王アリの遺伝子を受け継いでいるので、
女王アリが子を増やすということは
彼ら自身の複製を作ることにつながる。
そのため働きアリは
身を粉にして働き、
女王アリに尽くしているのではないだろうか。
彼らはそうやって
間接的に自己複製を行っているのだ。
ならば、働きアリは
それ自体が個体の生物でありながら
自己複製は別の個体を利用して行っていることになる。
そんなアリを見て思う。
我々がアリの個体だと思っているものは
実は巨大な生物の一組織であって、
女王アリを中心とする一つのコミュニティが
一個の「アリ」という生物なのではないか、と。
「ここからここまでが一つの個体」
というものは、
立ち位置を変えるだけで
ずいぶん認識が変わってくる。
人間はどうだろう。
我々が「個人」だと思っているものは、
実は巨大な生命体の一部に過ぎないのではないだろうか。
(続く)
働きアリの幸福はどこにあるか
2006年03月10日 23:45未分類