「ゾウリムシは死なない」
「働きアリの幸福はどこにあるか」
の話をふまえて。
この2つの議論が
ある程度の正当性を持つのだとすると、
もはや生命体の定義そのものが
よくわからなくなってくる。
一にして全、全にして一であるゾウリムシ。
多数の個体が同時に一つの生命体でもあるアリ。
ここでの議論は、
「生命体 ≠ 個体」
という考え方をしている。
この「個体」という言葉は
英語の individual を和訳したものだ。
Individual という語は
「分けることの(dividual)できない(in)」
が原義であり、
「生命集団を分けていって、
これ以上分けることができないという単位」
の事を指している。
要するに、日常で
「一匹」とか「一頭」とか「一羽」とか呼んでいる、
あの一つ一つが「個体」だ。
したがって、
互いに分離している複数の個体をまとめて
一つの生命体と見なす議論は
「一つの生命体(organism)は、一つの個体(individual)からなる。」
という前提を外して考えていることになる。
地球全体を一つの生命体と考える
いわゆる「ガイア思想」もこれにあたるだろう。
「常識的に前提とされている事項を
ひとつキャンセルして考えてみる」
というのは、なかなか楽しい遊びだ。
「生命体は、実体(entity)を持っている。」
という前提を外してみると、
さらに妄想は広がっていく。
(つづく)
「常識的な前提条件を外してみる」という遊び
2006年03月25日 09:52未分類