ひとつのことが終わるというのは、そのまま次の段階が始まることを意味します。中でも、今日のこの日はとりわけ大きな始まりになることでしょう。皆さんはこれから、防波堤に守られた港から船を出し、大海原への航海を始めることになります。きっと期待と不安の入り交じった高揚感で満たされていることだと思います。
人生の段階として考えても、また時代の流れをとらえても、みなさんがこれから旅立っていく世界はまさに何が起こるかわからない怒濤の海です。わからないことだらけの世界で、それでもいずれかの方向に進んでいかなければなりません。いつまでも停泊していてはどこにもたどり着くことができませんし、いずれは船が沈んでしまいます。
これから先、数え切れないほどの選択を迫られることになります。人生の方向性に迷うこともあるでしょう。説教臭くなるのは避けたいところですが、ひとつだけアドバイスを。そんなときは、自分をより大きく変えてくれる方を選ぶことです。とにかくやってみることです。やらなかったことから学ぶものは何一つありませんが、自分で決断してやってみたことからは、成功しても失敗しても、必ず得るものがあります。
たどり着くべき目的地をしっかりと定め、決断し、行動し、あとは信じることです。自分を支えてくれる友を、師を、先人を。知識を、経験を、感動を。そして、自分自身を。そこで得たあらゆるものが、羅針盤となってあなたの航海を導くことでしょう。
何が起こるかわからない時代だからこそ、無限の可能性も秘められているはずです。未知なるものへの不安に震えるのではなく、まだ見ぬ未来への希望を見つめようではないですか。
そして時々、大冒険の物語を聞かせてください。楽しみにしています。
卒業おめでとう。君たちの大いなる航海に、幸多からんことを。