近所にミスタードーナツがあった。
「あった」というのは
営業をやめてしまったからなのだが、
店員さんの感じもよくてなかなか良い店だった。
そのお店で
ちょっとしたものの言い方に感心したことがある。
ミスタードーナツでは
コーヒーがおかわり自由となっている。
隣の席にいた男性が
店員さんにおかわりを頼んだ時のこと。
それを引き受けた店員さんは
いったんカウンターの向こうへ行き、
そのまま帰ってきてこう言った。
「淹れたてをお持ちいたしますので、しばらくお待ちください。」
これはなかなか良い表現だと思う。
もちろん
「いま淹れてますので、しばらくお待ちください。」
でもまったく問題はない。
しかしこれだとお客さんにとっては
「今はないからちょっと待たないといけない」
という意味になる。
別に不快な出来事ではないが、
そこにはネガティブな要素しかない。
ところが「淹れたてをお持ちいたしますので」だと、
「ちょっと待ったら淹れたてのコーヒーがくる」
というポジティブなイメージになる。
同じことを表すにも、
ちょっとしたものの言い方で
相手の心持ちが変わるという好例じゃないだろうか。