特に何も起こらないのにやたらと惹きつける映画

ちょっと前の映画だが、
Always 三丁目の夕日』を観た。
これはちょっと現代のヒット映画としては異色の作品だ。
映画にしても小説にしても
大抵の物語というのは
最初はそれぞれ展開していた複数(普通2つ)のエピソードが
話が進むにしたがって交わりはじめ、
最後には一つの出来事として融合するものが多い。
それに対してこの作品は交わらない。
もちろん登場人物は絡み合うのだが、
それぞれの日々がそれぞれに進んでいて
全体の物語として収束しないのだ。
各自のエピソードも
特別に驚くようなことが起こるわけではなく、
よくある」ストーリーだ。
要するにクライマックスも何もあったものではなく、
言ってしまえば「特に何も起こらない」。
それなのにこの映画には
やたらと惹きつけられた。

小学生に「行ってみたい時代は?」と聞くと
男の子の1位が戦国時代。
女の子の1位が平安時代。
ところが、2位は男女で共通していたという。
昭和時代
だそうだ。
昭和」は彼らの目にも
日本が最も輝いていた時代として映るのかもしれない。
ただ、
携帯もパソコンもTVもなかったのに
 どうしてあんなに楽しかったのだろう…。

というキャッチフレーズは同時に
デジカメもプラズマディスプレイもDVDレコーダーもあるのに
 どうしてこんなに楽しくないのだろう…。

という問いを孕んでいる。
輝かしいはずの未来に生きる子ども達が
ちょっと前」の時代に憧れるというのは
果たして健全な状態なのだろうか。
それにしても
昭和時代」という言い方がちょっとショッキング。
もうちょっとしたら
あんたら古いんだよ。
 これだから昭和生まれは困る。

などと言われるようになるのだろうか。
追記
その後、続編が作られることになったらしい。
 →iza: 感動を再び!「続・三丁目の夕日」来年11月に公開決定
まぁこの作品なら
同じような雰囲気でもう一本作れば
オーシャンズ12みたいに続編で大失敗することはないだろう。
ただ、
「前作とはまた違った雰囲気を」
などと色気を出してしまうと危険かもしれない。
観客がこの映画に求めているのは
目新しさでは決してないので。

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10 Responses to “特に何も起こらないのにやたらと惹きつける映画”

  • でっくん

    2006/10/08 12:07

    いや、もうすでに昭和生まれだって言うと驚かれますよ。

  • 2006/10/08 16:43

    10月13日までなら、ワンコイン上映でまた見れますね。
    原作漫画のほうは読んでなかったんですが・・・
    本当に惹きつけられる映画です。
    人によって好き嫌いはありますでしょうが
    「見たら?」ってススメたくなります。

  • Sンコン

    2006/10/08 20:44

    おお、この映画未見なんですよねー。ワーナーで今観られるんだった。行こうかな。つーか昭和って、大人に懐古されてるだけの存在だと思ってました。小学生にもかー。

  • TERA

    2006/10/08 23:41

    広島にいなくても、Blogが日々更新される
    世の中だもんね。。

  • 2006/10/09 04:45

    小渕さんが、新元号「平成」を総理官邸記者会見室で発表した時のことを思い出しました。
    昭和64年1月7日。
    私が高校生の時でした。
    あれからもう18年。平成生まれが社会へと出てきて、一緒に働くなんてことが、そろそろ起こりそうですね。
    Always 三丁目の夕日は、気になりながら見ていません><

  • 2006/10/10 21:03

    > でっくんさん
    ???
    平成生まれって今高校3年生くらいからだと思いますけど、どういう場面でびっくりされるんですか?

  • 2006/10/10 21:05

    > ミチさん
    私も原作はみてないんですが、たしかにこの映画にはかなり大きな背景ストーリーがあることは感じられますね。それでもなお特に何もおこらないんでしょうけど。

  • 2006/10/10 21:06

    > Sンコンさん
    そのようですよ。
    大人は懐古ですが、小学生は「見たことのない世界」です。

  • 2006/10/10 21:06

    > TERAさん
    まったくです。便利な世の中ですね。
    誰が広島にいないことを公表せえっちゅうた・・・

  • 2006/10/10 21:07

    > あさひさん
    来年度から、平成生まれが大学生ですよ。
    ついに「前の世代の人」になる日が来ます。