先日犬山に行って、木曽川の鵜飼を見てきた。
その時、鵜匠さんや船頭さんから聞いた話をメモ。
今後鵜飼を見に行く予定がある人はネタバレ注意。
鵜匠は市の職員
鵜匠さんは市の職員として採用されている。これは犬山市だけらしい。
一体何課に属しているんだろう。
もしかして「鵜飼課」があるんじゃないか、と思って嬉しくなったが、普通に考えたら観光課か何かか。
ちなみに長良川の鵜飼の鵜匠さんは、宮内庁の職員なんだそうな。
鵜は人工的に繁殖できない
鵜はとてもデリケートな鳥で、人間に飼われると卵を産まなくなるため人工的に繁殖させることができないらしい。
そのため鵜飼で使われる鵜は野生のウミウを捕獲して訓練する。
ウミウの捕獲が許可されている場所は日本に一カ所だけで、それが茨城県の「鵜の岬」。
(もちろん捕獲には免許が要ります。勝手にとらないように。)
鵜は雄雌の区別がつかない
鵜は鵜匠さんの目で見ても、雄と雌の区別がつかないらしい。
「どれが雌なんですか?」と聞かれたときのために、ちゃんと「雄でない方が雌です」というネタが用意されている。
鵜が魚を飲み込む時は方向が決まっている
尻尾側から飲み込むと魚の鱗がひっかかってしまうため、かならず頭の方から飲み込む。
くわえたときに尻尾が下になっていたら、ちゃんとくちばしで上手にひっくりかえして頭を下にするらしい。
とれた鮎は売られてない
これが一番ショッキングな話だった。
船頭さんが「昔は、とれた鮎は料亭なんかに売ってたんだけどね」と言うので「え、今は売られてないんですか?」と聞くと「今は伝統芸能としてやってるから、売ってない」とのこと。
じゃあとれた鮎はどうしてるのかというと、「あとでそのへんで鵜に喰わせてる」んだそうだ。
自分でとった鮎を食べられない鵜はかわいそうだ、と思っていたのでそれを聞いて少し心が安らいだが、「鵜飼でとれた鮎ってどこで食べられるんだろう」という探求は空しいものになってしまった。
あともう一つあった。
鵜は魚を飲み込むとき一番苦労するのがうなぎ。
身体が長いし尻尾の力が強いため、飲み込もうとしても暴れて出てくるのだそうだ。
で、鵜が飲み込むのに苦労するから「鵜、難儀」→「うなんぎ」→「うなぎ」になったという話。
うなぎは、古名「むなぎ」が転じた語で、「万葉集」などには「むなぎ」とある。
むなぎの語源は諸説あるが、「む」は「身」を意味し、「なぎ」は「長し(長い)」の「なが」からとする説が有力とされる。
また、鵜が飲み込むのに難儀するからという説もあるが、「うなんぎ」→「むなぎ」→「うなぎ」と変化するとは考え難いため、「うなぎ」と呼ばれるようになってから作られた俗説であろう
できることなら鵜匠さんの話の方を信じたいが・・・。