先に映画の方をみたのだが、
帰ってきてすぐ原作を注文して読んでみた。
広島生まれの広島育ちなので
多分平均的な同世代よりは
原爆をテーマにした作品を多く見ていると思うが、
だいたいそういった作品には
生々しくも恐ろしい描写が多い。
以前から疑問だった。
それで伝わるものはいったい何なのだろうか、と。
確かに、戦争の悲惨さや核兵器の恐ろしさを伝えることは重要だろう。
世界の多くの人はどんなことがあったのか全く知らされていないだろうし、
日本でもそれを過去の出来事としてしか捉えられない人がたくさんいる。
しかし目を背けたくなるような内容ばかりを突きつけられて
でも目を背けちゃダメだ、と教えられて
その結果育つのは
さりげなくそこから遠ざかろうとする意識か
思考停止して「反戦反戦平和平和」と叫ぶポーズの
いずれかになりがちではないだろうか。
事実を伝えることは大切だが、
「そのとき何があったか」を伝えることの目的はあくまで
「これからどうするのか」を考えることであるはず。
そういう観点からして
この『夕凪の街 桜の国』はよくできていると思う。
その目は死の現実から視線をそらすことなく
同時に生の物語を見つめ続けている。
本なんてみんな好きなように読めばいいし
どこに惹かれるかも当然人それぞれなのだが、
でもこの作品はやはり最後の1ページではないだろうか。
歴史を語り継ぐことの意味は
結局そこにつながっている気がする。
2007/08/06 09:23
あれから62年が経過して、実体験としてあのことを語ってくれる方々はどんどんいなくなって、あの出来事の意味を代々に伝えていくやり方自体を再考しなければならない。その中心に我々の世代がいるのだと思います。
漫画というカテゴリの中で『はだしのゲン』が直接語りの世代の代表格であれば、『夕凪/桜』は間接語りの世代の代表格(現在のところ)と呼んでいいのではないでしょうか。
2007/08/06 18:20
こんどTVドラマになりますね「はだしのゲン」。
うちの不良息子らはなぜか
こういうスペシャルドラマが好きみたいです。
そういえば「さとうきび畑の唄」もよかったな。
すみません独り言で。
2007/08/06 21:16
「夕凪の街 桜の国」はとても女性的で、僕にはこっちの方がぐっと来るものがありました。