女性専用車両というのがあって
その名のとおり男子禁制。
国土交通省は、「男性のお客様のご理解とご協力の下に成り立っているものであって、強制的に乗車を禁ずる法的根拠もなく、男性のお客様を排除するためのものではありません」としている
とはいうものの、
間違えて男子が乗ってしまうと
極めて居心地の悪い思いをするのは確実だ。
もしかすると周りの女子の多くは
「あーかわいそうに」と思う程度かもしれないが
乗ってしまった男子はそれどころではない。
試練の刻が過ぎるのをじっと待つしかできない。
次の駅が来たらすぐ降りて隣の車両に移動しよういやでもこの女子ぎっしりの車両で駅に着いたときに「降ります」と発言して女子の中をかいくぐって降りることになるるのかそれならもうたくさん人が降りるであろう目的の駅まで行って流れに乗って降りた方がいいのではないかしかしそれまであと数駅この状況に耐えないといけないのかうわーそれも無理。
などと心の中で熾烈な戦いを強いられるのではないだろうか。
想像するにつけ
間違えて女子専用車両に乗ってしまったらどうしよう
という恐怖感は高まっていく。
この恐怖は
男子の精神に対する強烈な呪縛となっているのだなあ
と思ったのがある土曜日のこと。
女性専用車両というのは
だいたい通勤時間帯だけとか平日だけとかなので
土日祝日あたりは関係なし。
そのことははっきりと書かれていて疑念の余地はないし
その日が土曜日であることも間違いない。
なのに、女性専用車両(平日のみ)の表示がされた車両には
やはりほとんど女性しか乗っていなかった。
あとはカップルが少々。
隣の通常車両には
比べるまでもないくらいの密度で人が乗っていて
件の車両の方が快適なのは明らかなのだが
それでもやはり男子は乗れないのだろう。
おもしろく、かつおそろしいものだなあ
と思いながら列車の前に立ち、
やはり目の前にある薄い赤紫色の空いた車両を避けて
2つ向こうのドアから銀色の混んだ車両に乗ってしまった。