『428 ~封鎖された渋谷で~』ファーストインプレッション

あまり話題にしないからか
よく「ゲームは好きじゃないのかと思った」って言われるけど
そんなことはないです。嗜む程度にはします。
あんまり持ってないけど。

で最近『カラクリ☆忍者屋敷』の人がやたら面白いって言うし
『カイ士伝』の人が買え買え言うので
つられて買ってしまった。

登場人物が取るべき行動を選択肢から選んで進めていくゲーム。
コマンド選択型アドベンチャーゲームって言えばいいのかな。

こういうのをやると
『マンハッタン・レクイエム』とか『スナッチャー』とか
そういうのを思い出すんだけど古すぎるか。
『逆転裁判』って言ったらわかりますか。

映像も音楽も話の作り込みも
比較にならないくらいよくできてるけど。

ひねりも何もない感想だけど、実に面白いです。
あんまり言うとカイ士伝が「へへーん」などと言い出すから
適度にしておきますが。

ある登場人物の行動が別の人に影響を与えて
それがまた物語の行方を変えて、と
いろんな要素が複雑に絡み合っていくようにできていて、
その絡まり具合とスピード感が次第にアップしていくので
後になるほど面白い。

過去のちょっとした行動の違いが
自分や他人の人生に大きな影響を与えていくあたり
映画『バタフライ・エフェクト』を思い出させる。

アドベンチャーゲーム（でいいですか）は
当然ストーリーが重要だが、
あまりストーリーを重視しすぎると
今度はプレイヤーの自由度を下げてしまうことになる。

ストーリーをリズム良く進めるためには
必要なタイミングでシナリオ通りの行動を取ってもらう必要があるけど
そればかりだともうゲームじゃなくなっちゃう。

これはもう近年のゲームが共通して抱える問題じゃないだろうか。
ストーリー性と自由度の相克。

前述の『マンハッタン・レクイエム』や『スナッチャー』なんかは
基本的には好きなときに好きな場所へ行けるが、
特定の条件がそろわないと見つけられない物があったり
行けない場所があったりすることで
プレイヤーをストーリーの進むべき方向に
導こうとしていたように思う。

が、あるフラグ（誰かと会話するとか）が立っていないために
何度も同じ場所を行ったり来たりすることも多く
急展開の場面なのにやたら時間がかかるなど
いまひとつリズムに乗りきれないことがあった。

この『428』はこのへんをうまく解決している。

基本的には、どうやっても
話は本来意図された流れで進んで行くので
ストーリーのリズム感が損なわれることはない。

それだけ聞くと
もともと作られた話に乗っかっているだけのように見えるが、
「ザッピングシステム」と呼ばれる仕掛けのおかげで
プレイヤーは話の流れを自分の好きなように操れる。

好きな時刻における
好きな人物の行動を変えることができるこのシステムは
他のゲームにおける
「どこに行く？」コマンドの役割を果たしつつ
同時に先ほどの問題を解決しているように思う。

「どこに行く？」だと
話の流れ上適切でない場所に行ってしまった場合
何もできないまま時間をつかうことになり
話の流れを途切れさせてしまうが、
ザッピングで人物と時間を切り替える仕組みだと
どのような選択をしたとしても
本来のリズムが失われることなく話が進んで行く。

このへんは拙文だけでは伝わりにくいだろうけど、
よくあるコマンド型アドベンチャーの
残念なところをうまく解決していて
退屈する瞬間を与えないようにできているという感じです。

何が残念って、
（個人的な感想ですが）
パッケージや公式サイトに上げられている
ゲーム画面のキャプチャを見ても
あんまり面白そうに見えないところ。

これとか。

これを見ただけで、
実際にプレイした人の話を聞かなかったら買わなかったかも。

いろんな人がやたらめったら勧めているので
却って気色悪いかもしれないけど
これは確かに面白いと思います。よかったらどうぞ。

これに出てくる「御法川実」っていうキャラを見ると
どうしてもユースケ・サンタマリアを思い出してしまう。

やってない人にはわからんと思いますが。
やった人にもわかってもらえるかどうかわかりませんが。

いま気づいたけど、マンハッタン・レクイエムは
つい先日 DS 版が出てた。何かうれしい。