ネイティブスピーカーの方が知らないこともある

学生のとき
留学に来ていたニュージーランド人の友人と
数人の日本人で世間話をしていた。
日本語での会話。

ニュージーランドでは自宅でビールをつくることが多いというので
「どうやるの?」と聞いてみた。

材料(セットになったのを買ってくることが多いらしい)を用意して、
大きな容器に入れて、砂糖を入れて、という話の最後に
それまで流暢な日本語で話をしていた彼の口から
とつぜん耳慣れない言葉が。

「デカモス」

彼の言ったことが聞き取れず
それまでうなずきながら聞いていたみんなの空気が変わったので
彼は「あれ、違ったかな」という顔をして
英語で言い直した。
“Brew” と。

彼は間違ってない。
彼が使ったのはちゃんとした日本語の動詞だし
発音も綺麗だったし使われた場面も実に適切だった。
すぐに理解できなかった日本人の方がわるい。

先ほど「デカモス」という謎の言葉に聞こえたのは
「で、醸す」だった。

彼には「醸す」は正しい日本語であること、
だけど普段はあまり使われないこと、
代わりに「醸造する」と言うことが多いことを説明。

それはいいとして、
ニュージーランドで勉強してきた彼が使いこなせる日本語を
そこにいた日本人は咄嗟に理解できなかった。
「醸し出す」ならすぐわかるけど「醸す」はわからない。

我々は日常的に酒を醸すことがないからだが、
少なくともこの分野の表現については
日本語のネイティブスピーカーより
自宅でビールをつくる国で日本語を学んで来た彼の方が
豊かなボキャブラリーを持っていた。

身の回りに何があるかで使う語彙や表現は変わってくる。
ジャンルによっては、ネイティブスピーカーの方が知らないこともある。

以上、
何でもかんでもネイティブの方がえらいわけじゃないよね、という
それだけの話。

もっとこう、
文化と言語の関係についてとか何とか
いい話になりそうだったら誰かお願いします。

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2 Responses to “ネイティブスピーカーの方が知らないこともある”

  • toroja

    2009/03/23 23:04

    その方は漫画「もやしもん」の愛読者だったに違いない・・かな。「かもす」はこの漫画で初めて知りました。

  • Anonymous

    2009/03/25 17:13

    へぇ・・・
    「かもす」って使わないんですね。
    僕はそういう仕事をしているわけじゃないけど、わりとよく耳にします。