気になる物音は勝手にいい話にしてしまえばいいんじゃないかという話

新幹線の中でずっと「ピッピッピッ」という音が聞こえていた。
1秒から2秒の間隔を空けて繰り返される短い電子音。

あまりに続くので何だろうと気になって音のする方へ目をやると
老夫婦とおぼしきお二人が
顔を寄せ合ってデジカメの画面をのぞき込んでいらっしゃる。

突然、音がまったく気にならなくなった。

そもそも車内で音を立ててはならないという決まりはないからいいんだけど
繰り返される電子音と生乾きの衣類の臭いがどうも苦手で
できればそれがない環境に身を置きたいなあと思うことが多い。

ところがそのお二人の様子を見て
これまでご一緒にいらっしゃった旅行の思い出か
離れて暮らす孫の写真でもご覧になっているのだろうと想像すると
「ピッピッピッ」が急にいい物語の BGM のように聞こえてきた。

少々音がするという程度のこまいことを
いちいち気にしないでいたいんだけど
それだけの人間に成長できるまでの間は
気になる物音がしたら全部いいお話を勝手に作ってしまおうと思う。

あとは生乾きの洗濯物だなあ。
あれだけはどうにもこうにも。

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