「十」という漢字は数の10を表しますね。
そして「廿」は20を表す漢字です。たぶん義務教育の範囲で習うことはないけど、たとえば広島県民ならみんな知ってます。「廿日市」と書いて「はつかいち」という地名があるので、「廿日」が「はつか」なら「廿」は20だろうというのはわかる。
30, 40もあった
「廿」は「十」が二つくっついた形ですけど、さらに三つくっつけて30を表す漢字がありました。
卅
手元の環境では「さんじゅう」を変換したら出てきます。
さらに40。
卌
こちらは「しじゅう」でも「よんじゅう」でも出てこなかった。
「十」シリーズのなりたち
縦の線一本が10を表すのはまあ見たらわかります。
十、廿、卅、卌
これらは、甲骨文字では「一」、「二」、「三」、「亖(=四の古字)」を縦にしたものである。ただし縦線の下端で互いにつながっている。
「廿」の下にある横線はこの名残かな。
では中央の横線はどこから来たかというと
金文では、線の中央に点が加えられるようになった。この点が横に伸び、現在の字形になった。
「廿」の下線なしバージョン
他のにはないのに「廿」だけ下線があるんだな、と思ったら、下線なしバージョンもあった。
「廿(20)」の異体字に「卄(U+5344)」がある。
変換では入力できなかったけど、文字参照 卄
で出してみると
卄
出た。
「卅」と「世」の関係について
「卅」にも下線がつながった形の「丗」という異字体があって、これは同時に「世」の異字体とも言われているらしい。
殷代では平均寿命が30歳ほどであったため、30年で1世代と考えられたためである。
なるほど、これはおもしろい。
関係ないけど廿日市について
冒頭の「廿日市」は市の名前で、正しい地名としては「廿日市市」です。
だいたい書き間違いだと思われる、変な地名。