数多くある PHP の Web アプリケーションフレームワークの中で、いま少なくとも身の回りでの一番人気は Laravel だと思います。
とはいえ急激に人気が出たためか開発スピードがはやいためか、なかなか現バージョンで「これだ!」という日本語の書籍が見あたらなかったんだけど、ついに『Laravel リファレンス』が発売されました。おめでとうございます。
そして見本誌をいただきましたありがとうございます。
対象となる読者
こういう本は誰をターゲットにするかがなかなか難しいんだけど、本書についていえば「みんな」ということになると思います。
どれくらい「みんな」かと言うと、「PHP はある程度わかるけどフレームワークはまだ」という人から「もう実際に Laravel を使ってガンガン開発してます」という人まで。
開発環境を整えて Composer で Laravel を入れるところから一つずつ丁寧に説明してくれてるからそのへんがあやしい人にも安心だし、Laravel でできることはかなりの範囲で網羅されてるからすでに実用してる人でも「おおそんなことできるんだ」と新たに得るものがけっこうあるんじゃないかな。
なお「フレームワーク初めてです」という人は、もし説明文や補足によくわからないことがあってもそれはいったん見なかったことにして、とにかくサンプルコードにならって一回自分で書いてみるのがお勧めです。
カバーされる範囲
手に持った時点で、いかに盛りだくさんな内容であるかが物理的な感触として伝わります。そして目を通してみると実際にかなり深いところまで扱われてることがわかる。
Laravel でできることはかなり多くて、もちろん一冊の本で全ての機能を完全に網羅することはまずできません。けど「ここは身につけておかないと始まらない」というところから「これだけできたら文句ない」というところまでカバーされてる。「ちょうどいい」深度です。
これ以上やりたかったらあとは公式サイトを読み込むなり API ドキュメントで探すなり Laracasts で学ぶなり自分ですればいい。
実際、できあがった原稿はこの内容を遙かに凌ぐボリュームだったようです。盛り込みたいことはたくさんあるけど、際限なくページを増やすわけにもいかず。内容の充実とページ数のバランスをとって、ちょうどいいところに落ち着けるのはなかなか大変だったみたい。
ちょうどいい
この「ちょうどいい」感じ、Laravel の魅力に通じるものがある気がします。「これはぜひやってほしい」というところは確実におさえていて、細かいことまで「そう思って用意しておきました」と気を利かせてくれるんだけど、最低限のところ以外ではフレームワークに乗っかることを強要しない。変えたいところは好きに差し換えればいい。
完全に「どうぞご随意に」というものから「ルール通りにやれば幸せだから」というものまで、アプリケーションフレームワークにはいろんな考えがあるけど、Laravel はそこらへんのバランスがうまいこと取れてる感じがする。
『Laravel リファレンス』も「ここまでは一緒に行きましょう」という道標として、決定版となる一冊だと思います。
そこから先はあなたのやり方で。
Kindle 版はこちら。